台北駐日経済文化代表処代表・許世楷氏が講演「日台関係の現状と展望」

2006年10月27日 10時57分
 【大紀元日本10月27日】現在、津田塾大学名誉教授で、「日本統治下の台湾」「国際関係論基礎研究」「台湾新憲法論」などの著作で知られる、台北駐日経済文化代表処代表・許世楷氏(72)が21日午後、「日本李登輝の会」神奈川支部の招きにより、神奈川県民ホール6F会議室で講演を行い、「日台関係の現状と展望」について語った。

 冒頭、石川台湾問題研究所代表・日本李登輝の会理事・石川公弘氏が挨拶、李登輝氏来日の際に中共当局が日本政府に妨害工作を行ったこと、またさらに中共官僚の中国本土での腐敗行為、環境汚染、そしてさらに特筆すべきこととして、修養団体「法輪功」を強制収容所に拘留して臓器を収奪する「臓器狩り」の残酷さを訴え、「中国政府が、宗教弾圧と人権侵害を公認している。ある意味、犯罪国家ではないのか」と聴衆に訴え度肝を抜いた。カナダ独立調査団のデビッド・キルガー氏が来日記者会見した際、「中国臓器狩り」の問題を告発したにもかかわらず、「なぜ日本のマスコミは伝えないのか」「国内の宇和島の事例は伝えることができるのに。朝日系列は話しにならないが、読売サンケイまで伝えない、よほどの圧力がかかっているのに違いない」と不信感を表した。

 基調講演で許氏は、日本と台湾とは1972年に国交が断絶したが、民間を始めとする交流は近年ますます好調で、台湾雑誌の市民好感度アンケートでも「どの国を敬服するか」「どの国に行ってみたいか」の質問に、米国がしばらく第一位、日本が近年第二位であったのが、2006年逆転し日本が一位になった、これは日本政府の台湾人観光客に対する「ノー・ビザ」措置がプラスに影響したと指摘した。

 名古屋万博(EXPO2005)において、日本政府は臨時措置として大量の観光客が見込まれる韓国・台湾に対し「六ヶ月限定ノー・ビザ」を決定したが、許氏はこれを一つの転機として捉え、日本政府に引き続き「台湾観光客ノー・ビザ」を求め受理された経緯を説明、これは台湾政府がここ十数年来から日本人観光客に対しビザを免除してきた誠意努力が実ったものと述べた。

  2005年2月、日米安全保障協議会(2プラス2)が開催されたが、共通の戦略目標として「台湾海峡の安定」が明示された。これに台湾人は日本に対し非常に好印象を抱いたという。現在、日台間の年間渡航者数は、台湾から日本へは128万人、日本から台湾へは112万人、国交がないのにもかかわらずこれだけ人的交流が盛んなのは、地理的に隣国であること、そして特に日本がかつての台湾にとっての宗主国であった「特別な」歴史的経緯を説明した。

 許氏はかつて70年代、長く台湾に帰ることができなかった時期があり、沖縄が日本に返還された後、ヨナクニ島に渡り、晴れた日には(肉眼で)台湾を望むことができたという。当時、島のTVには日本のNHKが映らず、台湾のテレビが受信でき故国を懐かしんだという。夜になると、島の酒場から台湾語が聞こえるので行ってみると、台湾の猟師が、日本巡視船が日中去った後に上陸して一杯やっていたという。

 台湾では現在、日本語が流暢な人たちは全て70代後半以降になり、現役の台湾社会でも見かけることが少なくなった。終戦後、国民党政府が台湾に上陸、日本語を禁止し、日本映画の上映なども禁止したため、長らく台湾社会では「日本語タブー」が存在していたが、李登輝氏が総統になってから、総統府から日本語が聞こえるようになり、日本語学科を設置する大学が二校から四十校に急増したという。

 台湾では民主化後、日本と同様の「自由、民主、人権」などの共通の価値観を持つようになったが、大陸中国では依然として「一党独裁」の弊害が続いており、中国での一般市民を対象にしたインターネット調査「もう一度生まれ変われるとしたら、また中国人に生まれたいですか?」の質問に、実に69%が「生まれたくない」と答えていると指摘、理由は「人生そのものが幸福でない」「人間として尊重されない」からだという。

 許氏は、大陸の一般大衆の苦しみとして、法輪功やキリスト教などの宗教段弾圧、天安門事件以降の民主派弾圧、特に農村問題から来る「暴動事件多発」などを挙げ、一党独裁の弊害があるにもかかわらず、日本の政治家を始めとして、日本の一般市民も「人民代表大会」を民衆から選出された民意の代表として「錯覚」していないかと疑問を投げ掛けた。 

 また北朝鮮の核実験について、中国はここ十数年来不透明な説明のまま国防費を二桁台で伸ばし続け、核ミサイル戦力を始め、原子力潜水艦などで日本の南西海域を侵犯し、国際世論から「ならず者」の指弾を受けてきたが、その「お鉢」を北朝鮮にやらせる「国際的興行」を打っていると非難、「もし中国が北朝鮮を制裁するのなら、中朝国境からの支援物資を止めればすぐに北は崩壊する」と指摘、これは中国が自らの立場を調整しつつ、北朝鮮への仲介者として有利な立場で日米との交渉のテーブルに着こうとする動きだと述べた。 

 許氏は総括で、日本とは台湾とは「特別な歴史的・地理的関係」「大量の人的交流」「共通の社会的価値観」からして、将来もその関係は大いに有望であるが、特に日本に留意してもらいたいのは、中国・北朝鮮と話し合いをする際に「同じ価値観」であると錯覚してはいけないと警告、日本と台湾とは手を組み、世界的潮流の中で新しい歴史を築いていかなくてはならないと展望を述べた。

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