THE EPOCH TIMES

<赤龍解体記>(20) 挟撃される温家宝の行方は?(その1)

2011年06月27日 07時18分

 中共の権力中枢の中で、温家宝ほど争議多き人物はいない。埒を越えた言論をしばしば放つため、称賛される一方、物議も多くかもしている。

 庶民的首相と言う人がいれば、パフォーマンス首相と言う人もいる。率直で勤勉な指導者と褒め称えられるし、ずるがしこい者とも言われる。中国の開明派や改革派とされる一方、激動時代の御都合主義とも揶揄される。

 こういった賛否両論の渦に巻かれている温家宝は最近、権力中枢で多面から挟撃を受けている。温家宝は今後、如何に応じていくか、この新たな党内闘争は天安門事件前のように中共の内部分裂になるのだろうか。

  ■昨年、政治体制改革への言及に伴う騒動

 昨年8月、深圳開発30周年を祝うイベントに参加するため、胡錦涛総書記と温家宝首相はそれぞれ深圳に赴き、重要な談話を発表した。胡錦涛が経済改革を深化させることを強調するのに対し、温家宝は政治改革の重要性を訴えた。彼らの異なる声により世界はすぐ注目した。

 温家宝首相は8月20日から21日まで深圳市を視察し、「経済改革を推進するのみならず、政治体制の改革も推進すべき」と強調した。それ以降、温家宝首相は8回も異なる場で政治体制改革の重要性を訴え続けていた。中国共産党第十七期第五回全体会議(五中全会)を控えた時期だっただけに、彼の発言は中共が間もなく政治体制の改革を行うことを示唆したものだろうと読まれた。

 しかし、五中全会(2010年10月15日から18日まで)が閉幕した時、期待されたような政治体制の改革に関する決議などは公布されなかった。そればかりか、五中全会が閉幕した当日の10月18日から11月2日にかけて、『人民日報』はペンネーム「鄭清源」による5本の論文を続けて掲載し、中国における「政治遅滞論」を反撃し、温家宝がつねに唱えている世界の普遍的な価値観を否定、反対している。こういった一連のイデオロギー的世論戦は、中共の主流派の態度を代表するものであり、胡耀邦や趙紫陽などの「ブルジョアの自由化」を批判する運動の再来かとも見られた。

 たとえば、10月27日の「正確な政治方向に沿って政治体制の改革を穏当に推進」と題する記事の中で、政治改革は社会主義の方向を堅持すべく、空洞的なスローガンを叫んではならないとし、温家宝の政治改革についての発言に不満を示し、中国における政治体制改革の遅滞論を否定し、温家宝の言論をあきらかに貶めているのである。

 複数の証言によると、この「鄭清源」は中国共産党中央政治局の匿名であり、その後ろ盾は胡錦涛、または江沢民と言われている。現指導者にしろ、元指導者にしろ、どちらも温家宝を制する力を十分持っている。そのため、温家宝はその後しばらく政治体制の改革についての言論を取りやめ、沈黙していた。

 中共指導部の内部事情に詳しい杜導正氏(「光明日報」編集長や出版署署長を歴任、「炎黄春秋」社長)によると、昨年9月、中共中央の指導部(政治局拡大会議と思われる)で政治体制の改革についての論戦が行われた。論戦の中、温家宝は左派集団から多大な圧力をかけられ、孤立無援に立たされた。こういった情景を見て、温家宝を支持する人たちまでも口を閉ざし、彷徨ってしまうという。これは正しく、廬山会議で彭徳懐が孤立させられた情景と同様であり、歴史の繰り返しと言ってもいいようである。

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