チベットの光 (16) 送金の計

2021年03月21日 07時00分


 ラマはこれを聞くと破顔一笑した。「ははは!あんたたち女の人は聡明だというが、全く間違いない」

 ウェンシーの母は、村人たちがウェンシーを殺害しようとしているのを知り、自分が遺した田んぼの半分を売出し、それを黄金七両に変えた。彼女は、この黄金をどういう風に送ろうかと思案していたところ、ちょうどひとりの行者が托鉢で村に来たので、彼の来歴を訊いたうえで、彼に頼もうと思ったのだ。

 「どうぞ数日間はうちに泊まっていってください。わたしの息子が、ウェイツァン地方で法を学んでいますので、どうかこの手紙を渡してください」

 「わかった。そこを通りかかったら、手紙を渡すことにしましょう」。行者は答えた。

 その晩、彼女は燈明を灯し、祖先の霊と神明に祈りを捧げた。「もし私の願いが叶うのなら、この燈明が消えないようにしてください。もし叶わないのなら、消えるようにしてください。祖先と神の導きをお待ちします」。その結果、一昼夜その燈明が消えなかったので、彼女は自らの計を信じ、あくる日に行者に言った。

 「巡礼に出る衣服と靴は大切なものです。わたしにその服を修繕させてください。靴底も一足差し上げましょう」。彼女はそう言い終えると、行者に長くて大きな皮を靴底用に渡した。そして、上着を持っていって修繕を始めた。

 彼女はその上着のなかに黄金を七両隠し、そこを黒布で補修すると、そのうえに白糸で六個の星を縫い付け、行者にはこれを知られないようにした。行者は、離れる前に母から礼物を貰い、母は手紙の封切りに印をして、ウェンシーに渡すよう行者に託した。

 このようにして、ウェンシーは学費を手にし、ラマを供養する用意ができた。しかし、その後雹を降らせたら、どのようにしてウェンシーは殺害の禍を避けるのだろうか。またその母もどのような計があって、ウェンシーがその禍を避け、最終的にその家財が叔父から返還されるというのだろうか。

 (続く)
 

(翻訳編集・武蔵)

 

 

 

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