評論:サーキットブレーカー制度はなぜ失敗したか

実際に国内外の専門家はこれまで中証監に対して忠告してきた。上下5%の変動幅であれば、値動きの激しい中国株式市場ではサーキットブレーカーが頻繁に発動される違いない。また5%から7%までの間隔が狭すぎるため、取引停止されるのを不安に思う投資家の心理をさらに悪化させ、結果的にパニック的な投げ売りに繋ぐとの逆効果がある。したがって、国内外の株式市場の経験、実情分析と常識推量から、5%と7%との変動幅が非常に不合理であることが明かだ。なぜ中証監が専門家の反対意見を押し切って実行したのか、実に不可解。
株価の急激な変動を減らす根本は市場情報の透明性、取引の公平さにある。この2つの条件がなければ、サーキットブレーカー制度は市場の安定化を図る目的を果たせない。情報が不透明で、取引の公平さを欠ける市場では投資家はサーキットブレーカーの発動を売り材料とみなすのみだ。
中国経済減速
中国のサーキットブレーカー制度が失敗したもう一つの主因は中国経済減速で、投資家の悲観的心理が拡大したことを挙げられる。過剰に輸出への依存、信用拡大、生産能力の過剰と消費不足など構造的な要因が経済減速を招いた。政治および経済の体制を徹底的に改革を行い、特に政治と経済の深刻な専制かつ独占な状況を打ち破らなけば、経済状況が良くならない。
ただ中国共産党政権は改革の推進歩調が緩やかで、スローガンばかり耳に入るが、実際の行動を見えてこない。しかも当局は依然として徐々に効果が出なくなった金融政策で、景気を刺激しようとする。投資家はすでに経済的ファンダメンタルズに悲観的であるため、いかなるマイナスな情報が市場の緊迫な反響を起こす。サーキットブレーカー制度はまさにその悲観的な心理によって停止されたのだ。
(評論員・劉孟奇、翻訳編集・張哲)
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