■大紀元日本 http://www.epochtimes.jp/jp/2008/09/html/d24974.html



行方不明の子どもたち=親たちは、ネットなどで我が子の写真を公開し、救出の手がかりを求めている

中国:年間20万人の児童が行方不明、我が子救出に奔走する親たち

 【大紀元日本9月5日】中国は、生まれてくる子どもは男子を望む傾向が強く、一人っ子政策がそれに拍車をかけてきた。様々な理由で子どもができず、さらに男の子を望む中国人の中には、人身売買に解決策を求めている者も多いことから、闇業者がはびこり、誘拐が多く発生している。専門家によれば、年間20万人の子どもが行方不明になり、親元に戻れるのはわずか0.1%であるという。

 当局は「一人っ子政策」の根幹を揺るがしかねないと恐れ、こうした事件の処理に消極的である。町の景観に影響するという理由で、チラシの貼り付けも禁止している。

 大勢の親はわが子を捜すために全財産をなげうち、藁にもすがる思いでわずかな手がかりをたよりに全国各地に足を運んでいる。そうした親たちは、想像を超える困難に直面している。

 湖北省から広東省深セン市に出稼ぎに出ている彭高峰さんはその中の1人。

 彭さんは、市内で小さな電話ショップを経営している。2008年3月25日午後7時半、4歳の息子が行方不明になった。ショップの前で遊んでいた息子から目を離した数分間の出来事だった。

 彭さんは派出所に通報したが、条件を満たしていないと、事件として対応してもらえなかった。家族、親戚全員で周辺を捜索したが、有力な手がかりはない。近くに設置された監視カメラを調べようとしても、関係者は誰も応じてくれなかった。その日を境に彭さん一家の生活は一変した。

 現状打開のために同様に子どもが行方不明になったほかの6人の親と共に、中央政府への陳情を試みたが、北京駅についた途端、待ち伏せしている地元警察に強制送還された。情報は事前に漏れたようだ。陳情は失敗に終わったものの、地元警察はやっと重い腰を上げて、監視カメラを調べるなど捜査に着手した。後に、自宅付近の監視カメラに息子が誘拐された場面が写っていたことが判明した。

 「五つのカメラはその一部始終を捉えた。犯人は30歳前後で黒のジャケットを着る男性だった。息子は抵抗した。懸命に犯人の手を払って地べたに這いつくばったが、結局連れて行かれた」。その場面を思い出すと、今でも胸が切り裂ける思いだという。

 自分で我が子を探すしかないと覚悟した彭さんは犯人が写った映像をインターネットで公開し、10万元の懸賞金もかけた。息子が明らかに誘拐されたと分かっていても、当局は積極的に動かなかった。なぜなら、このような事件の解決は難しく、捜査すれば検挙率が下がり、ボーナスに影響が出るからという。

 それから4ヶ月間、彭高峰さんは全国各地に訪れ息子を探し続けた。その間、大勢の同じ境遇の親と出会い、失踪児童捜しの互助会を立ち上げ、互いに情報を交換している。すでに千人以上が登録しているという。多くのボランティアも参加している。

 この方法は効果があるのかと聞かれると、彭さんは「様々な困難と立ち向かっている。毎年20万人の児童が行方不明になっているが、見つかるのはわずか0.1%。中に諦める親もいる」と語った。

 彭さんはその間に遭遇した辛い体験を語った。

 広西省を訪れた際、誘拐情報を得たため記者と一緒に子どもを買う側に扮して人身売買の闇業者と接触した。その業者から家にいる約4歳の女の子と10ヶ月の男の子は皆買ってきたと告げられたため、彭さんは現地の警察に通報した。警察は対応を拒否したが、記者が同行していると知り、2人の子どもを救出した。しかし、しばらくして、両親が見つからないとの理由で、警察は子どもたちを闇業者に返したという。「警察はDNAが親と一致してから、迎えに行くと言っている。しかし、闇業者にまた売られてしまう危険があるのに」と彭さんは憤りを隠せなかった。

 彭さんは今、経営するショップを「尋子店」(子を探す店)に改名し、店頭に20平米もある大きな看板を立てて、中に「楽楽(息子の名前)、お父さんは決して諦めない。地の果てまで行っても必ずあなたを探し出す」と書かれている。全国で今このような店が増えている。
全国各地の「尋子店」


 今年7月14日、米国のケーブルテレビ・ネットワーク放送局HBOは、ドキュメンタリー映画「盗まれる中国の子ども」を放送した。英国の映画監督Jezza Neumann氏が製作したこの映画は、中国の児童失踪問題の深刻さを浮き彫りにした。

 同映画は雲南省在住の某夫婦が探偵を雇って誘拐された5歳のわが子を探す過程を克明に描いた。「雲南省では子どもの誘拐事件が多発しているが、親が街で子どもを捜すチラシを張り出すことすら当局に禁止されている」などと、親たちが置かれている現状を赤裸々に伝えた。

 映画では、取材を受けた闇業者が誘拐の手口を淡々として語った。その無表情の顔にはまったく罪を感じていない。

 映画は、誘拐された子どもが実際に見つかったかどうかに触れなかった。

 失踪した子どもはどこにいるのだろうか。彭さんによると、広東省で失踪した児童の多くは同省の潮汕地区に売られたという。同地区では男尊女卑の考えがまだ根強く残っている。同地区のある族長はテレビの取材で「子どもを買うことに対して抵抗はないのか」という質問に対して、「まったくない。跡継ぎがなければ買っていい。でなければ、この家族はずっと肩が狭い思いをしなければならない」と答えた。

 また、買ってきた子どもに障害を負わせ、乞食にする人もいる。障害のある子どもを見て人が同情し、お金をくれるだろうという打算によるものである。女の子は花を売る仕事をさせられる場合が多い。花を売らないと、暴行を受けたり食事を与えてもらえないなどの処罰がある。さらに、売春を強要されるケースもある。

 2007年6月5日、中国の「大河論壇」というサイトで、河南省の父親約400人が連名で救援状を出した。それによると、行方不明になったわが子を捜すために、様々な苦難を乗り越え、全国各地を転々し、ようやく子どもらが山西省の炭鉱工場で奴隷のように働かされているのを突き止めた。2ヶ月あまりの時間をかけて、40人あまりの子どもを救出できた。この子どもたちは誘拐された後、1人500元(約8千円)の価格で山西省の炭鉱工場に売り飛ばされたという。また、40人しか救出できなかったことについて、「現地政府が、河南省の子どもの連れ出ししか許可しなかった。湖北省や、四川省などの子どももいたが、我々は救えなかった。ほんとうに申し訳ない」と明かした。

 この情報がきっかけで、誘拐され人身売買された子どもが奴隷のように働かされている事件が各地で相次ぎ確認され、中国社会で大きな話題を呼んだ。

 また、英誌「オブザーバー」は今年初めの関連報道で、中国で子ども誘拐・売買事件が多発する根源は「一人っ子政策」にあると指摘し、中国当局は政策の批判を避けるためこの領域に踏み入れたくない、現状を見てみぬふりしている、と伝えた。

 「一体、だれが私たちを守ってくれるのか」、彭高峰さんと大勢の同じ境遇にある親たちは心から叫び続けている。

 
(翻訳・編集/叶子)