大紀元時報
中国伝統文化百景

女媧の功績

2018年03月25日 06時00分
Robert Couse-Baker/Flickr
Robert Couse-Baker/Flickr

強い生命力や神性があるゆえ、石は巨大なエネルギーを持つ神秘的生命の本源となるが、天地間の基本色を含む「五色の石」を以って損壊した天を補修するならば、天は本来のバランスを取り戻し、よって天は安心、安全、完美になるのである。したがって、この天を補修するという行為は、簡単な修復作業ではなく、「五色の石」をもって天の属性とその効用を復活させる、一種の神聖な儀式でもあるのである。

そして、中国文化の中で、「五」はきわめて重要な数字である。木、火、土、金、水の五行思想はむろん、徐整『三五歴記』に「数起于一、立于三、成于五、盛于七、処于九」とあり、九個の自然数の中で、五はちょうど真ん中に位置し、不偏不党であり平衡を保つ意義もある。この文化的要素から考察すれば、女媧の「五色の石」は中国の文化思想と深くかかわっていることが分かる。

女媧の天を補修する作業の今一つの重要な内容は、鰲の足を切って崩れた天を立て直し、葦の灰をもって氾濫した洪水を堰き止めたことである。

『淮南子』に「断鰲足以立四極」とあるが、高誘注によれば、「鰲、亀也、天廃頓以鰲足柱之」という。つまり、天が機能しなくなり崩れたため、鰲の足を以って東西南北の四極で支えたのである。中国では古、天は丸い形で、地は四角いものであり、四方にそれぞれ巨大な柱で天を支え、そしてこの大地は巨大な亀に載せられるものとされていた。この古い宇宙観は女媧神話でも取り上げられ、過不足なく活用されている。

鰲の足で天を支えるのと同様に、葦の灰をもって氾濫した洪水を堰き止めたのも一種の儀式、いわば呪術である(閻徳亮『中国古代神話文化尋踪』、人民出版社、2011年)と考えられる。

女媧の天を補修した神聖な奮闘により、「蒼天補、四極正、陰水涸、冀州平、狡虫死、顓民生」(蒼天は修復され、四極は正され、洪水は消え、冀州は平坦になり、猛獣は死に、民は生き残った)となったのである。

2、婚姻制度を定め、人類を繁殖させ、笙簧を発明し人類を教化する

人を造った人間の始祖として、女媧はまた人間が繁殖し代々生息していけるように、婚姻制度を定めた。

 女媧祷祠神、祈而為女媒,因置婚姻。(『風俗通』)

 女媧が神祠に祈って、女媒になり、婚姻制度を設けた。

この『風俗通』の外、『路史』にもほぼ同じ内容の記載も見られる。そして、『路史』にはさらに、女媧は女婦の姓氏を正し、婚姻を司る。仲人を通ずる婚姻が万民の倫理的関係を重んじたため「神媒」とされるとある。

原文では、「因通行媒、以重万民之判」となるが、中の「判」に対する解釈はさまざまであるが、可否や白黒を区別し見分けるという意味に基づき、女媧は婚姻制度を以って万民の婚姻の可否と相互の婚姻関係を明らかにするようになったことから、ここの「判」をあえて「倫理」と解釈してもよいようである。「神媒」である女媧の偉大な功績を讃えるため、古の人は春に記念の儀式を行い、女媧の神性の復活を祈っていた。

女媧が婚姻制度を設ける前、すなわち母系社会の昔は、男女は雑婚であったと思われる。『淮南子』本経訓に「男女群居雑処無二別」とあり、『列子』湯問にも「男女雑游、不聘不媒」とある。そして『呂氏春秋』にはさらに「其民聚生群處、知母不知父、無親戚兄弟夫妻男女之別、無上下長幼之道」と記されている。

上記によれば、群居していた先史時代の人々は、親族関係や婚姻関係は一切なく、母を知っても父を知らない、いわば文明未開の時代であった。女媧の婚姻制度の確立によって、先史文明は大きな一歩を踏み出し、人の自然性や野蛮性を是正し、文明的な婚姻制度ならびに人間の倫理関係を確立したことによって、人類は史的な文明進歩を成し遂げたわけである。

女媧は、自ら率先して婚姻制度を完成させた記述が複数あるが、『独異志』の記述がもっとも古い。

昔、宇宙が初めて開闢されたとき、女媧兄妹二人だけが崑崙山(こんろんさん)にいた。天下にはまだ人はいなかった。二人は夫婦になろうとしたが、自ら恥ずかしかった。それで、兄は妹と崑崙山に登り、「もし天がわれわれ二人を夫婦になるように遣わされたなら、煙を合わせてください。もし違うなら、煙を散らしてください」と祈った。すると、煙は合わさった。それで、妹はすぐ兄に従い、そして草で扇を作って面を隠した。今も、人々は結婚する際に扇を手にするが、そのことに由来したのである。(『独異志』)

この「煙が合わさって成婚する」話の中の兄は、いったい誰か。古書に確たる記述はない。しかし、その傍証となるものは少なくない。結論を先に述べると、結婚の相手となった女媧の兄は伏羲である。

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